ピロリ菌治療

除菌治療

ピロリ菌は幼少期に感染し、除菌治療しなければ、一生涯この菌を胃の中に持ち続けることになります。

除菌治療は大変なことではなく、数種類の薬を1週間服用するだけで、ほとんどの人が菌を取り除けます。
一度除菌治療をすると、また感染することはまずありません。

保険治療では、内視鏡で診断された慢性胃炎の患者さんが対象となります。

1次除菌薬

胃酸を抑える薬(PPI)、クラリスロマイシン、アモキシシリンの3種類の薬を朝夕(または昼夕)2回7日間服用します。
内服終了し1ヶ月以上してから、うまくいったかどうかを判定する検査(呼気テストまたは便検査)をします。

この組み合わせの薬で、通常7割ぐらいの方が除菌できます。
除菌に使用する抗生剤のクラリスロマイシンにピロリ菌が耐性を持っている場合、除菌に失敗する可能性が高く、そうであった場合、除菌の成功率は4割ぐらいであります。

内視鏡検査で培養検査をして、クラリスロマイシンが効きやすいピロリ菌であった場合は、除菌の成功率は9割ぐらいであります。

最近タケキャブ制酸剤がPPIの代わりにつかわれるようになりました。
これを使うと除菌率が9割近くになります。

副作用としては下痢が多いので、整腸剤併用されることをお勧めします。
本院ではパック剤であるラベキュアと整腸剤(ミヤMB)を使用しております(下写真)。

2次除菌薬

1次除菌の成功率が7割で、3割の人が失敗します。
その方は2次除菌治療が必要になります。

1次除菌の薬のうち、クラリスロマイシンをメトロニダール(フラジール)に替えて、これも1週間内服します。
そして、1次除菌同様に結果の判定をします。

この薬の組み合わせで、約95%の人が除菌できます。
また、1次除菌同様にPPIの代わりにタケキャブ制酸剤を使用すると除菌率が99%以上になり、ほぼ除菌できてしまいます。

除菌失敗した場合は、シタフロジュサシン(グレースビット)を使用した除菌薬で、3次除菌します。(3次除菌は保険がききません)
現在のところ、タケキャブ制酸剤を使用した2次除菌でほとんど除菌できるので、3次除菌になる事はほとんどありません。
本院ではタケキャブ パセトシン フラジール ミヤBMの組み合わせになります。

一時除菌用薬剤(1日分)

ピロリ菌治療薬1回服用数は錠剤5個と粉薬1回 一日2回 食後に服用する。副作用がなければ1週間続ける。

上から

  • ラベキュア400と整腸剤
  • 1回の内服量
    パリエット(10)1個
    クラリス(200)
    1個サワシリン錠(250)3個
    ミヤBM(1g)

2次除菌薬(1日分)

ピロリ菌治療薬1次除菌薬同様に5粒と一袋を1日2回食後に服用する。副作用がなければ1週間続ける。

上から(一回量)

  • タケキャブ(20mg) 1個
  • フラジール(250mg) 1個
  • パセトシン(250mg) 3個
  • ミヤBM(1g)

服用時の注意点

  • 確実にピロリ菌を除菌するために、薬は指示された通りに服用するようにして下さい。
  • 自分の判断で薬を減らしたり、服用を中止してはいけません。
  • 必ず、同時に4種類の薬(2種類の抗生物質と胃酸の分泌を抑える薬、腸の働きを整える薬)を1日2回(朝・夕)、7日間続けて飲むようにして下さい。
  • 除菌治療の間はアルコール摂取(飲酒)を避けて下さい。

ピロリ菌除菌薬を服用できない方

  • ペニシリンアレルギーの方
  • クラリスロマイシンアレルギーの方
  • プロトンポンプ阻害薬系(パリエット等)のアレルギーの方

副作用発生時の対処法

  • 便がゆるい、軽い下痢、食べ物の味がわからない、おかしいと感じる

→自分の判断で薬を減らしたり中止せずに、残りの薬を飲み続けて下さい。ただし、症状が酷くなる様でしたらご連絡下さい。

  • 発熱、腹痛をともなう下痢、便に血が混じる
  • まれにアレルギーで蕁麻疹や発熱が起きることがあります

→すぐに薬を飲むのを中断し、ご相談下さい

菌治療と副作用

除菌治療で約1割の人が軟便、軽い下痢を起こします。
その他に一次除菌薬では、味覚障害、 腹痛、便秘などの副作用があります。

2次除菌薬では、フラジール(メトロニダゾール)の副作用で、アルコールを飲むと悪心、嘔吐しますので、除菌時と除菌後3日間(計10日間)はアルコール禁止が必要です。

約5%の人に薬によるアレルギー反応が見られることがあります。
服用を始めてから体にかゆみを伴う発疹が現れましたら、服薬を中止してください。
ほとんどは除菌薬に使われているペニシリンに対するアレルギーです。

酷い下痢、発熱、下血を伴う下痢の場合も、すぐに中止し、医療機関を受診してください。
抗生剤服用による偽膜性腸炎、またはペニシリン剤による出血性腸炎の可能性があります。

除菌後の注意点

除菌治療後1か月以上間隔をあけ尿素呼気試験を受け陰性となった場合除菌成功と判定されます。
除菌後の注意点に気をつけ、自己管理を心掛けて下さい。

除菌後の注意点

  1. 除菌が成功し、ピロリ菌がいなくなっても胃癌が発生する事があります。
    除菌により胃癌になるリスクは菌を持っているままよりは少なくなりますが、全くいなくなるわけではありません。
    胃癌になるリスクは、胃の粘膜の萎縮によってわかりますが、胃カメラ検査で評価してもらう必要があります。
    そして、リスクの重さにより胃カメラ検査の間隔を決める必要があります。
    日本の日常生活においては、ピロリ菌が再感染することはほとんどありません。
  2.  除菌後、胃の酸分泌が正常になり、以前より胃の酸が増加します。
    人によっては逆流性食道炎の症状(胸やけ等)が出る場合があります。ガスター等の胃酸を抑える薬を服用すると改善されます。一過性の場合がほとんどです
  3. 除菌後、体重増加、コレステロール値、血糖値の微増があります。血糖、脂質の値が高めの人は、食生活を一層注意する必要があります。 

 気になることがありましたら、ヴィナシス金町内科クリニックまでご連絡下さい。

ピロリ菌除菌治療をされた患者様へ

xlsx 上記に記載してある注意点のダウンロードファイルです。
A4サイズで印刷してお使い下さい。
除菌後の注意点.xlsx / Microsoft Excel 11.0 KB

ピロリ菌Q&A

1.胃がんにならないようにするにはどうしたらよいでしょうか?

これまで説明したようにほとんどの胃がんはピロリ菌感染によります。
また、除菌することで、胃がんになるリスクを下げられますし、また、リスクのある方は、定期的な胃内視鏡検査することで、内視鏡で治療可能な早期に癌を発見することができます。

大切なのは自分が…

  1. ピロリ菌を感染しているのか
  2. 過去に感染したことがあったのか
  3. 過去に一度も感染したことがないのか

ということをしっかり診断できる医師にかかることと思います。
医療機関を探すには、ホームページ上ピロリ感染について、詳しい情報を載せている医師にかかることをおすすめします。

③の方は胃がんのリスクはありませんので定期的な検査(内視鏡、バリウム検査)は必要ありません。
②の方は定期的な検査が必要です。
①の方は除菌治療をして、定期的検査が必要です。
ピロリ菌による、胃粘膜のい傷み方によって胃がんのリスクが違いますので、それにより、検査の間隔を決定します。

2.胃がんが心配ですが、胃カメラ検査は受けなければならないのでしょうか?

保険診療でピロリ菌の検査治療をされる場合、内視鏡検査は必須です。
バリウム検査よりも早期に胃がんを見つけることができます。
ただ、10代、20代の人は胃がんのリスクはほとんどありませんので、症状がなければ胃内視鏡検査は必要ないかと思われます。
保険が適応されませんが、感染があれば除菌治療をするだけでいいと思われます。

3.毎年バリウム検査をしていて異常が無いと言われますが、心配はないのでしょうか?

バリウム検査で異常なし、つまりA判定である場合、2つの解釈ができます。
1つはピロリ菌感染のない、胃がんのリスクもない胃というので、もし、これであれば胃がんのリスクがありませんので、毎年バリウム検査をする必要ないわけです。

もう一つの解釈は、胃がんや潰瘍の病変が認められないということであり、胃炎やピロリ菌の感染は関係ないというものになります。

従来の胃がん検診バリウム検査は後者ですので、毎年検診を受けていないと胃がんが進行してしまう可能性があるわけです。

現在では、ピロリ菌による胃炎も指摘してくれる施設も出てきております。
どのようなドクターがバリウムの検査を読影しているかによります。

4.除菌後に気を付けることはありますか?

除菌が成功してピロリ菌がいなくなっても、胃がんのリスクが減少するものの、数年たった後に胃がんが見つかることもあります。

定期的な内視鏡検査が必要です。
内視鏡の間隔ですが、胃の粘膜の状態、家族歴(胃がん)などで、フォローアップ間隔を決めます。

また、除菌成功後3カ月以内に一過性の胃痛、食道炎の症状がみられることがあります。
ほとんどは、ガスターなどH2ブロッカーを短期間服用すれば改善しますが、食道炎の薬の内服が必要な場合があります。

また、長期的副作用(副作用とは言えないのですが)として、体重の増加、コレステロール値、血糖値が増加することもあります。

このようなリスクをお持ちの方は、除菌治療後の食生活の厳重な管理が必要です。

5.除菌した後、またピロリ菌に感染することはあるのですか?

ピロリ菌は、大体の方は子供の頃に感染します。
日本では、大人になってからの感染は稀で、除菌治療後の再感染率は1%ぐらいであると言われています。

1度除菌治療すると通常は一生、胃からピロリ菌がいなくなります。
再感染することは現在日本で生活している限り、まず無いと言ってよいでしょう。

コップの回し飲み、つけ箸、キスなどでは感染することはありません。
もし、除菌後、何度も感染する場合は、配偶者や家族の除菌治療を考慮するべきです。

6.除菌治療をすれば、胃がんや胃潰瘍にならないのでしょうか?

胃潰瘍や十二指腸潰瘍においては、90%ぐらいの人で再発を防ぐことができます。

除菌することで潰瘍を予防することができます。
胃癌においては、胃の粘膜の萎縮のない方は胃癌を予防できますが、萎縮の進んでいる場合、予防効果は少ないです。

このような方は、除菌後も、定期的な、内視鏡検査が必要です。

7.抗生剤でアレルギーを起こしたことがあるのですが、除菌治療が可能でしょうか?

どの抗生剤にアレルギーがあったのかが分かれば、その抗生剤を含まない組み合わせの薬剤で除菌することが可能です。

8.2次除菌に失敗したのですが、除菌できますか?

保険診療では2次除菌までカバーしております。
3回目は呼気検査を含め、保険がききません。

3次除菌は現在のところ、グレースビット(シタフロキサシン)を含んだセットの成績が良いようですが、呼吸器疾患で過去にこの薬を服用されたことがある方は、この薬では除菌ができないことが多いようです。

その場合、タケキャブを使った2次除菌の組み合わせで除菌できる可能性があります。

グレースビットは高価なので、この除菌セットは1万5千円ぐらい、タケキャブを2次除菌薬セットは1万円ぐらいです。
呼気検査も保険外だと5千円ぐらいかかります

9.ピロリ除菌治療後は「逆流性食道炎になり、バレット食道がんになるので除菌をしないほうが良い」とかかりつけの先生に言われ迷っています。

確かに、除菌後逆流性食道炎の症状が出ることもありますが、通常一過性の場合が多いようです。
しかし、除菌治療をして食道炎になる人と、反対に改善する人もいるようです。

逆流性食道炎の発症率は

「ピロリ菌に感染している方 < ピロリ菌を除菌した方 < ピロリ菌のいない方」

となっております。

特に食道裂孔ヘルニアがある人は食道炎になりやすいようですが、ほとんどが軽症で一過性であるようです。
症状が続けば逆流性食道炎の薬が必要なこともあります。

逆流性食道炎が繰り返されると、食道の一番下のところが胃の粘膜に変わり、いわゆるバレット上皮になります。
そこからバレット上皮癌(食道腺癌)が出ることもあります。

ピロリ菌の感染をそのままにして胃がんになるのと、除菌したため食道炎になり、食道腺癌になるリスクは圧倒的に前者が多いです。

内視鏡で確認された全てのピロリ感染胃炎の保険治療が認められ、除菌治療が胃がんの発症を1/3にするということが周知になっている今、除菌治療を勧めないのはいかがでしょうか。
除菌されずに患者さんが胃がんになられたら、どうされるのでしょうか。

除菌をし、内視鏡フォローしていても胃がんが見つかることはありますが、ピロリ菌感染を放置して胃がんになるという事は、自らリスクを高めてしまっているという事だと私は思います。

現在、食道炎の良い薬がたくさん出ています。
除菌して逆流性食道炎になったら、胃酸を抑える薬を服用してもらうのが正道ではないでしょうか。

10.内視鏡検査をして萎縮性胃炎と言われましたが、胃の粘膜を取って調べたところ、ピロリ菌はいないので大丈夫だと言われました。本当に大丈夫でしょうか?

本当に萎縮性胃炎である場合、胃がんのリスクがあり、大丈夫ではありません。
萎縮性胃炎にも軽いものから、進んだものまであります。

ピロリ菌がいなくなるほどの萎縮性胃炎でしたら、胃がんの超ハイリスクになるわけです。
厳密なフォローアップが必要で、生検検査だけではピロリ感染の判定はできませんから、呼気検査や血液検査を行い、しっかり診断する必要があります。

萎縮性胃炎のほとんどはピロリ感染によって起こります。
ストレスや塩分摂取など、他の原因では萎縮性胃炎になりません。
萎縮性胃炎と診断するにあたり、内視鏡検査をされたドクターは、ピロリ感染と胃がんのリスクもしっかり患者さんに説明する必要があると思います。

先日、胃痛で来院された50代の患者さんが、内視鏡で検査したところ、進んだ萎縮性胃炎の上、進行がんでした。
数年前、他院で内視鏡検査をして、「ピロリ菌がいなくて良かったですね。」と言われたそうです。
確かにピロリ菌はいませんが、実際はピロリ菌が存在する事すらできない(陰性になるほど)萎縮性胃炎だったわけです。
本来は、厳密な内視鏡検査をしなければならないと、患者さんに言わなければいけません。

内視鏡検査も、口からの内視鏡でツライ思いをし抵抗があり、ピロリ菌もいないから大丈夫だと言われたので、胃の痛みがあっても、その後、内視鏡検査を受けていなかったとの事でした。

正しい診断をして、患者さんにしっかりと伝えていれば、この様な事態にはならなかったでしょう。
内視鏡医の責任が大きいと思います。

ですので、ピロリ菌がいないからといって、胃がんのリスクが無いわけではありません。
しっかりと診断し、説明してくれるドクターに検査してもらう事が重要です。

TEL:03-5876-9416胃カメラ専用24時間WEB予約
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