マーシャル先生 その1

オーストラリアでの動物実験
オーストラリアでの動物実験

 昨今、日本人のノーベル生理学賞が続いていますが、私たち日本人がこれまで一番恩恵を受けている発見で、ノーベル賞をもらったのはマーシャル先生とウォレン先生の、ピロリ菌の発見だろうと思います。

 

自分自身も2000年ごろ除菌治療をしました。

それまでは、頻回に胃がきりきりと痛くなることが多かったのですが、除菌してからなくなりました。

除菌治療しなかったら、もしかすると、自分も胃潰瘍や胃がんになってたかもしれません。

除菌治療は胃がんの予防で、除菌治療する事により胃がんになるリスクが1/3に減少するといわれます。

除菌治療して胃がんにならなくて済んだ人は、本人は実感することはできませんが、統計的には1000万人の日本人の除菌治療が10年間早まり、除菌した人の年間胃がん発症率を年に0.5%少なくしたとして、約50万日本人の胃がん発症を未然に防いだことになります。

これはすごいことです。

日本人への貢献度からして、国民栄誉賞ものだと思います。

 

ピロリ菌を発見して、少し前には明治乳業のLG21の宣伝に出ていたオーストラリアのマーシャル先生をご存知の方も多いと思います。

1981年に胃炎の研究をしていたウォーレン教授とピロリ菌研究をし、培養をし、胃炎の原因であることを明らかにし、2005年にウォーレン教授とともにノーベル賞受賞されました。

 

マーシャル先生たちがピロリ菌を発見する前、胃炎・胃がん・胃潰瘍の原因がわかりませんでした。

日本は世界でも胃がんが多い国なのですが、日本の学者はピロリ菌と胃の病気を関連させることができませんでした。

マーシャル先生がピロリ菌を発見した時代、日本では内視鏡検査やバリウム検査が同分野では世界でもトップレベルで、胃がんの研究も世界でも進歩していたようですが、当時日本で、ばい菌が胃がんの原因だなんて言っても、そんな馬鹿なと一笑に付されたことだと思います。

 

小生も研修医時代は東京で開かれる早期胃がん研究会を聴講しておりましたが、1900年代には、早期の胃がんを扱っているにも関わらず全くピロリという単語が使われていませんでした。

内視鏡生検標本にはピロリ菌がウジャウジャいたと思いますが、議題に上ることはありませんでした。

 

早期胃がん研究会なんてなく、胃がんが少ないオーストラリアの西海岸の平凡な研究病院で、世紀の大発見がなされましたということは、固定概念にとらわれないで新鮮な目で物事を観察し実証するということが、いかに大切かということがわかります。

 

権威主義の日本の学会に、オーストラリアから、この分野で新風を吹き込んがことはむしろ愉快に思われます。

 

その後、日本で2001年になり日本の当時呉共済病院の上村先生によりピロリ感染と胃がんに関する研究が発表され、それがマーシャル先生とウォーレン先生のノーベル賞をあと押ししました。

 

ピロリ菌が発見されたおかげで、日本では2000年から胃潰瘍・十二指腸潰瘍にかぎり、ピロリ菌の検査治療が保険でできるようになり、2013年から、北大の浅香先生のご努力で内視鏡検査後のすべてのピロリ感染者にピロリ検査治療ができるようになりました。

 

私とマーシャル先生の出会いは1996年だと思いますが、研修していたいわき市立常磐病院の当時副院長だった藤井先生に、仙台で行われたマーシャル先生の講演会に行ったことから始まります。

その後のことについて次回のブログで書きます。

 

写真は筆者がオーストラリアでマーシャル先生と動物実験(フェレットの胃内視鏡)している写真

 

 
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